ケラバって何語?どんな役割があるの?
投稿日:2023.7.2 更新日:2024.2.22
目次
屋根塗装をする際に使用される言葉として、「ケラバ」というものがあります。
ケラバは何語でどんな意味があるのでしょうか?
屋根のケラバの役割にはどのようなものがあるのでしょう?
この記事では、ケラバの語源や役割の他に、ケラバのような珍しい建築用語についてもご紹介するので、最後まで記事をチェックして下さい!
ケラバって何語?
「ケラバ」は、カタカナで書かれることもありますが、外国語ではなく日本語です。
漢字で書く場合には、「螻蛄羽」や「螻羽」となり、読みにくく書きづらいので、ひらがなやカタカナで表記されることが多いようです。
ケラバは、漢字の「螻蛄羽」でも分かるように、昆虫の螻蛄(おけら)がルーツとなった言葉です。
実はケラバというのは、屋根の妻側の外壁からはみ出している部分のことです。
正面から見ると三角形になっている妻側の端なので、螻蛄が短い羽根を広げた姿にも似ていることから「ケラバ」と呼ばれるようになったそうです。
ちなみに、切妻屋根ではなく、片割れ屋根の場合も、斜めになっているほうの外壁からはみ出ている場面は、ケラバと呼ばれています。
また、寄棟屋根や方形屋根には、ケラバがありません。
ケラバ板金って?
屋根の工事をする際には、ケラバに関わる工事として、ケラバ板金の設置を行うことがあります。
ケラバ板金は、「ケラバ唐草」と呼ばれることがあります。
ケラバに板金を取り付けるのは、主には水切りの役割のためです。
弊社で施工させて頂いたケラバ板金の設置工事の様子は、こちらからご確認いただけます。
ケラバの役割って?
ケラバがどんな役割を果たしているのかについても詳しく見ていきましょう。
実はケラバは、お住まいにとって大切な役割を果たしています。
ケラバの主な役割を以下にまとめました。
雨水の排水をスムーズにする
ケラバには、ケラバ板金が取り付けられています。
ケラバ板金は、屋根に降った雨水を、雨樋に誘導して適切に排水する役割を担っています。
ケラバ板金が設置されているおかげで、屋根の中には雨水が入りにくくなります。
屋根の中に雨水が入ってしまうと、湿気がこもります。
屋根は、内部に垂木などの複数の木材があるので、湿気がこもるとこの木材が腐食してしまう可能性があります。
屋根の木材が腐食すると、今度は雨漏りが発生する可能性があります。
屋根に雨水が入れば、屋根の木材の交換や修理だけではなく、雨漏りの修理も必要になり、高額の費用がかかってしまうこともあります。
日差しを調整する
屋根のケラバは、日差しを調整する役割も担っています。
ケラバが外壁からはみ出ていることによって、外壁や屋内に入る日差しが上手く調整されるようになっています。
夏場は日差しを遮りますが、冬場は太陽の位置や角度が変わるので、日差しを遮りすぎないように出来ています。
紫外線を防ぐ
家屋の外壁や屋内の家具などは、紫外線の影響を受けて変色したり劣化したりします。
ケラバがあることによって、日差しの量が調整されるため、紫外線の量も少なくなります。
紫外線の量が少なくなれば、外壁や家具などが紫外線によって劣化することも防げます。
年月が経てば紫外線による影響も出てきますが、ケラバがない時よりも、その影響が出るまでの猶予は長くなります。
ケラバと破風は違う?
ケラバと間違えられるものに、破風があります。
破風は、破風板とも呼ばれるもので、ケラバの先、屋根のもっとも端に隙間を埋めるように設置されている板のことです。
ケラバと隣接して設置されているので、破風はケラバと間違えられやすいです。
破風は、妻側の屋根の側面に取り付けられているので、ケラバよりも確認しやすいです。
そのため、昔の家屋の破風には、豪華な彫刻や意匠が取り付けられていたことがありました。
破風の語源や役割については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
外壁塗装や屋根塗装で使われる珍しい言葉
外壁塗装や屋根塗装を行うと、珍しい言葉に遭遇することも多いです。
外壁塗装や屋根塗装で使用される珍しい言葉について、以下にまとめました。
破風
破風は、破風板とも呼ばれますが、ケラバの先に設置された板のことです。
下から突き上げる風邪を防ぐ役割もあり、「風を破る」という意味で「破風」と名付けられたと言われています。
建物の正面から見える位置にあるので、昔は豪華な彫刻や家紋などが施されていました。
鼻隠し
鼻隠しは、屋根の軒の先端につけられた板のことです。
鼻隠しを外すと、屋根の垂木の先端が見えます。
垂木の先端のことを「鼻先」というので、鼻隠しと名付けられたと言われています。
鼻隠しには、垂木を隠して見た目を良くする目的の他、雨樋を取り付ける役割や火災の際に屋根裏への延焼を防ぐなどの役割があります。
唐草
唐草は、屋根の軒先に設置されている水切り板金のことです。
唐草という名前は、昔の家では水切り板金ではなく、唐草の模様をした屋根瓦が水切りの役割を担っており、「唐草」と呼ばれていたことから来ています。
現在の唐草の多くは唐草の形も模様もありませんが、役割が同じなので、昔の名残で現在も「唐草」と呼ばれています。
屋根の唐草について詳しくご紹介した記事は、こちらからご確認いただけます。
雨仕舞
雨仕舞は、パーツの名称ではなく、家屋が雨水を適切に排水するためのシステム全般の総称です。
たとえば、雨樋や水切り板金なども雨仕舞です。
さらに、屋根の勾配も雨水を適切に排水するために必要なものなので、雨仕舞の1つになります。
雨仕舞について詳しくご紹介した記事は、こちらからご確認いただけます。
ケレン
ケレンは、「クリーン」という英語が訛ったのが語源と言われています。
ケレンは、塗装部のサビをサンドペーパーやブラシ、パッドなどを使用して落としたり、汚れや古い塗料を取る作業のことです。
また、塗料がしっかり接着するアンカー効果を狙って、塗装面に小さな傷を付ける作業もケレンと呼ばれます。
猫
猫は、土やコンクリートを運ぶための一輪車のことです。
逆さにして伏せると猫の姿に似ているから「猫」と呼ばれるようになったという説があります。
ケラバは螻蛄(おけら)がルーツの建築用語!
ケラバについてご紹介してきました。
ケラバは建築用語で、螻蛄という昆虫が羽を広げた姿に似てることから名付けられたという説が有力です。
ケラバには、屋根の水切りの役割の他、日差しを調整するなどの役割があります。
ケラバは、先端に取り付けられた破風とともに、屋根や家屋を守る大切な役割を果たしています。
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