タスペーサーとは?従来の縁切りとの違いはなに?
投稿日:2025.8.16 更新日:2025.9.1
スレート屋根の塗装工事で欠かせないのが「タスペーサー」という部材です。
屋根材の重なり部分に挿し込む屋根専用の部材で、雨水の抜け道を確保するために重要な役割を果たします。
従来はすべての塗装が終わった後に手作業でおこなっていた縁切り作業を、タスペーサーを使うことで効率化し、工期短縮と品質向上を実現させることができます。
本記事では、タスペーサーの必要性や従来の縁切りとの違い、メリットやデメリットまで詳しく解説します。
タスペーサーの必要性とは
タスペーサーとは、スレート屋根の塗装時に使用する建築資材です。
スレート屋根の塗装をする際、塗料が屋根材と屋根材の間に入り込み、そのままにしてしまうと乾いた時に隙間が塞がってしまいます。
この状態を放置すると、雨が降った際に屋根内部に入った雨水の逃げ道がなくなってしまい、雨漏りや内部結露を引き起こします。
また、屋根裏の木材腐食や建物全体の劣化にもつながる深刻な問題にもなります。
そのようなことを防ぐために、屋根材と屋根材の重なり部分にタスペーサーを挿し込んで、適切な隙間と通気性を確保することが重要になります。
この作業のことを「縁切り」といいます。
タスペーサーはこの縁切り作業を効率化して、確実性を高めるために、屋根塗装において必要不可欠なものです。
タスペーサーを事前に挿入することで塗装後も適切な隙間を維持し、雨水の通り道を確保することができます。
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従来の縁切りとの違いとは?
従来の縁切り作業では、すべての塗装工程が完了したあとに専用のカッターを使って、手作業で塗膜を切断していました。
1枚1枚手作業のこの方法は、非常に手間と時間がかかるというデメリットがあります。
また、作業の精度にばらつきが生じやすく施工後に塗膜が再び密着してしまうリスクや、完成した屋根塗装を汚してしまうリスクもありました。
さらに、高所での細かい作業は施工業者にとっては労力のかかる作業で、施工期間の延長やコスト増加の要因にもなっていました。
これらの問題を根本的に解決できるのが「タスペーサー」で、近年ではタスペーサーでの縁切りが主流となっています。
下塗り後に作業をおこなうため塗装完了後の追加作業が不要となり、きれいになった屋根が汚れることがありません。
また、一度設置されたタスペーサーは長期間にわたって機能し続けるため、塗膜の再密着による問題も発生しません。
タスペーサーのメリット
工期短縮と費用削減
タスペーサー最大のメリットは、工期を短縮できて費用も削減できることです。
従来のカッターによる縁切りと比較すると作業にかかる時間が少ないため、工事の期間を短縮することができます。
それによって人件費も削減することができ、施工業者と施主の双方にとってメリットが生まれます。
屋根材を傷つけない
従来のカッター工法と比べると、屋根材を直接切らないので屋根材を傷つけるリスクが軽減されます。
また、カッターでは塗った塗料が剥がれてしまうリスクがありますが、タスペーサーではそのような心配はありません。
再密着のリスクがない
従来のカッター工法では塗装後に時間が経過すると、塗膜の柔軟性によって縁切りした部分が再び密着してしまうリスクがありました。
しかし、タスペーサーを使用することで常に適切な間隔を維持することができ、塗装後も確実な排水経路を確保することができます。
これによって長期間にわたって雨漏りを防止することができ、メンテナンス頻度も削減できる大きなメリットがあります。
タスペーサーのデメリットと注意点
費用がかかる
従来のカッターを使った縁切りでは専用部材は不要でしたが、タスペーサーを使う場合、部材が必要なため材料費がかかります。
ただし、カッター工法よりも人件費がかからないため、総合的にはコスト削減になることが多いです。
屋根材が割れることがある
屋根材が経年劣化によって脆くなっていると、タスペーサーを挿入する際の圧力や衝撃で割れが発生する可能性があります。
また、冬の寒い時期には材料が収縮して割れやすくなります。
割れた屋根材は雨漏りの原因となるため、施工には技術と適切な力加減が必要で、無理な挿入は避けなければいけません。
縁切りが不要な場合がある
縁切りはすべての屋根に必要なわけではありません。
屋根材に既に十分な隙間がある場合など、縁切りが不要な状況でタスペーサーを使用すると、部材が落下して雨樋が詰まる可能性があります。
縁切りが必要なケースと不要なケース
縁切りが必要なのは、主に2回目以降の塗装時です。
1回目の塗装では塗膜の厚みが少なく、十分な間隔が確保されているため、屋根材の隙間を完全に埋めてしまうことはあまりないからです。
しかし、2回目以降の塗装では前回の塗料の上から塗装することで、隙間が塞がりやすくなるため縁切りが必要になります。
一方、縁切りが不要なのは新築後初回の塗装と、屋根材の隙間が十分にある場合です。
屋根材に隙間があると、自然に排水することが可能なため縁切りが不要になります。
しかし最近では、作業の効率化と品質確保のために、1回目の塗装時でもタスペーサーを採用するケースが増えています。
予防的な意味合いでの縁切りによって、将来的な問題を未然に防ぐことができます。
また、タスペーサーはスレート屋根専用の部材なので、瓦屋根や金属屋根には使用できません。
まとめ
タスペーサーは、スレート屋根の塗装時に必要な縁切り作業で使う部材です。
従来の1枚1枚手作業で切断するカッターによる縁切りと比較すると、工期短縮と費用削減ができて、品質の安定化などの多くのメリットがあります。
一方デメリットとして屋根材が割れるケースがありますが、適切な施工によって防ぐことができます。
タスペーサーを使うことで、屋根の排水機能を長期間にわたって確実に維持することができ、その結果雨漏りや建物劣化のリスクを大幅に軽減することができます。
ただし、全ての状況で必要というわけではないため、専門業者によって屋根の状況を適切に診断してもらい、必要性を正しく判断することが重要です。
*K*
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