縁切りとは何?具体的な方法や不要なケースについても解説
投稿日:2025.1.18 更新日:2025.1.27
屋根の塗装を検討している際に、「縁切り」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
縁切りとはスレート瓦の屋根に隙間をあけることで、雨漏りや結露を防ぐための重要な作業です。
屋根塗装後、スレート瓦の重なり合う部分に塗料が入り込み、隙間が塞がれてしまうのを防ぐためにおこないます。
この記事では、縁切りの役割や具体的な方法、そして縁切りが不要なケースについて解説します。
縁切りとは
屋根材は重ね合わせることで、雨水が内部に侵入するのを防ぐ仕組みになっています。
そして重ね合わせた際にできる隙間は、雨水をスムーズに排出するためにとても重要な役割を果たしています。
ところが、屋根塗装の際にこの重ね目に塗料が入り込んでしまうと、隙間が塞がれてしまい雨水がスムーズに流れなくなってしまうのです。
これが原因で雨水が屋根材の下に入り込み、雨漏りを引き起こしてしまう可能性が高まってしまいます。
さらに、雨水がスムーズに流れなくなることで屋根内部に湿気がこもりやすくなり、結露が発生する原因にもなります。
結露が発生すると木材や断熱材を腐らせ、建物の寿命を縮めてしまう可能性があるのです。
そのため、縁切りは雨漏りや結露を防ぎ、建物を長持ちさせるために欠かせない作業なのです。
縁切りの効果
雨漏りを防ぐ
多くの屋根材として使用されているスレート瓦は、1枚1枚重ねて屋根を形成しています。
このスレート同士が重なる部分には、雨水が屋根裏に侵入しないための隙間があります。
しかし、屋根塗装の際にこの隙間が塗料で塞がれてしまうことがあります。
そうすると、雨水がスムーズに流れなくなり、屋根裏に水が溜まってしまう可能性が高まるのです。
雨水が溜まった状態が長く続くと、雨漏りが発生してしまい、屋根内部にある野地板などの木材の腐食にもつながってしまいます。
また、建物の構造自体にダメージを与える恐れもあるため、塗料で塞がれた隙間を再び開ける「縁切り」という作業が重要になってきます。
結露を防ぐ
冬の寒い朝、窓ガラスに水滴がびっしり付いているのを見たことがあると思います。
これは、暖かい部屋の空気中に含まれた水分が、冷たい窓ガラスに触れて水に変わったものです。
外が寒い冬、室内の暖かい空気が窓ガラスにあたると、まるで冷たい飲み物に水滴がつくように窓に水滴がつくことがあるのです。
実は、屋根でも同じ現象が起こります。
暖かい空気が部屋から屋根裏に上がっていくと屋根裏と外の温度差が大きくなり、屋根裏の寒い部分に結露が発生します。
結露によって湿気を帯びた木材は腐りやすくなり、建物の構造自体にダメージを与える原因となります。
縁切りをおこなうことで屋根裏の湿気を外に出すための通気口ができ、屋根裏の湿度を下げて結露を防止することができます。
スレート屋根に縁切りをおこなう方法
縁切りをおこなう方法には、カッターを使用する方法とタスペーサーを用いる2通りがあります。
カッターを使用する
縁切りの作業には、エンカッターやスクレーパーなどの専用の塗膜カッターのほかに、ヘラやコテといった工具が使用されます。
そして、カッターを使用する場合には、塗料が完全に乾燥してからおこないます。
仮に塗料を塗ってすぐにおこなうと、再び塗膜の隙間が塞がり雨漏りの原因になる可能性があります。
カッターを使用するメリットは、塗膜を正確に切り、均一な隙間を作ることができることです。
一方デメリットは、手間と時間がかかることです。
1枚1枚丁寧に作業をおこなうため、1日がかりの作業になってしまいコストも高額になりがちです。
また、屋根を傷つけてしまう可能性もあります。
タスペーサーを用いる
タスペーサーを屋根の重ね部分に差し込むことで隙間を作り出すことができ、雨漏りリスクを軽減することができます。
メリットはカッターで塗膜を切る方法とは異なり、屋根材にダメージを与えることが少ない点です。
また、手作業による方法と比べると、作業時間を短縮することができます。
他にも、一定の厚みを確保できるため、塗料で隙間が剥がれる心配がありません。
縁切りが不要な屋根もある
縁切りは全ての瓦屋根に必要なわけではありません。
縁切りが不要な屋根もあるので、詳しく解説します。
屋根の素材
屋根材によっては、縁切りが不要な場合もあります。
縁切りが不要な屋根材は、下記の通りです。
・セメント瓦
・日本瓦
・モニエル瓦
・トタン屋根
セメント瓦や日本瓦・モニエル瓦の場合、重ね目に十分な隙間があるため縁切りが不要です。
また、トタン屋根は継ぎ目がないため縁切りは不要です。
しかし、ガルバリウム鋼板の場合はスレート瓦のように継ぎ目があるため、塗装方法によっては縁切りが必要になることがあります。
他にも、経年劣化により瓦の先端が反り返ったスレート瓦の場合、十分な隙間があり塗料が入り込む可能性が低いため縁切りは不要です。
屋根の勾配
勾配とは、屋根の傾角度のことです。
傾斜が急な屋根は雨水が溜まりにくいです。
また塗装している屋根であっても、雨水の流れを防ぐことなく下方にスムーズ流れるため、縁切りは必要ありません。
屋根の塗装方法
勾配が緩い屋根であっても、塗装方法によっては縁切りが不要です。
屋根の塗装方法には、基本的に以下の2通りがあります。
・ローラーによる塗装
・吹き付けによる塗装
ローラーによる塗装の場合、瓦の重なり合う部分にも丁寧に塗料を塗り込むため、重ね目が塗料で塞がれてしまう可能性があります。
そのため、雨水が浸入するのを防ぐために、重ね目の塗料を切除する縁切り作業が必要になるのです。
一方、吹き付けによる屋根塗装の場合、エアレス塗装機を使用します。
塗膜が薄く均一になりやすく、重ね目に塗料が入り込みにくいため縁切りが不要です。
当社の屋根塗装工事については「外壁塗装・屋根塗装」をご覧ください。
まとめ
縁切りとは屋根塗装の際に、重ね合わせた部分にできた塗膜を切除する重要な作業のことです。
特にスレート瓦のように重ね目が狭い屋根材の場合、塗料が入り込んで隙間が塞がれてしまい、雨漏りや結露の原因となるため縁切りが必要です。
しかし、全ての屋根材に縁切りが必要なわけではありません。
そのため、屋根の状態を正確に把握し縁切りの必要性を確認するためにも、専門業者に一度点検を依頼することをおすすめします。
*K*
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